人間交差点

あったことやなかったこと、ありもしないことやあってほしいこと。

あお

まるで線香花火のようだ

夏はまるで、線香花火のようだ。 手の中で静かに弾けた最後の線香花火の火種がおちた先を見つめながら、そんな風に思った。 繊細で儚いのに、力強く短い命を煌めかせる姿は、夏とよく似ている。はやすぎるほどの時間の流れのなかの一瞬の煌めきで、人に色鮮…

金曜日の夜、彼女の紫煙。

ああ、視界がぐるぐるまわってる。 どことない解放感に、浮き足立つ気持ち。それらに身を任せ、調子に乗って弱いお酒をいつもより早いペースで飲んでしまったのがだめだった。 賑わう同席者たちに、賑わう店内、全ての音がどこか遠く、ぼんやりと聞こえてる…

触れた指先から身体にはしる甘い痛みなど、知りたくなかった。

ふたりでは、会わないようにしていた。 失敗したな、と思う。これまで、ふたりきりにならないように、事あるごとに理由をつけて逃げてきたのに、今日は逃げられそうにもない。 目の前にいる彼は嬉しそうに、確かに、熱のこもった目で私を射抜く。そう、この…

夏の夜のきらめきは美しくて苦手だ。

ふと寝苦しさに目を覚まして枕元の時計を確認してみれば、AM2:43。 まだ、3時前。 8月にさしかかろうとしているだけあって、夜も暑くて寝苦しい。その証拠に、じんわりと汗ばんでいる肌の感触が気持ち悪い。 寝なおす気にもならなくて、窓から外を眺めてみれ…

「平成」の青い春はもう二度とやってこない。

まるで初夏のような、肌をジリジリと焼く陽射しを感じながら、「平成最後の5月」の言葉に小さな衝撃をうけた先月末。 来年の4月まで何でもかんでも「平成最後の〜」がつくのだろうと予想できてしまうことに苦笑いが漏れてしまいそうになるけど、「平成生まれ…

胸を過ぎった確信に近いなにか

「今日は洗濯物がよく乾くでしょう」 テレビから聞こえるお天気キャスターの声に耳を傾けながら、寝起きで働かない頭をソファーの背に預ける。 窓の外に目線をチラッと動かせば、春の嵐が過ぎ去った雲ひとつない真っ青な空。ゆるやかな風に揺れる青々とした…

愛ってむずかしい。

「そしてそれくらいで、人を愛するにはちょうどなのだ。」 いつか、本で見た一文を思い出す。 気持ちには容量があって、それが少なすぎても多すぎてもいけない。特に、愛は、その分量の調節が難しい。 少なすぎる愛は不安を生んで、多すぎる愛は痛くて逃げた…

きょうで終わりにしよう。

男女の友情は成立するかしないか、どちらだとおもうかと聞かれれば、答えは「イエス」であり「ノー」。友達だったふたりが、ほんとうに小さなきっかけで、友達以上恋人未満になる。こうもあっけなく、曖昧な関係に変化してしまうことを、わたしは知りたくな…