人間交差点

あったことやなかったこと、ありもしないことやあってほしいこと。

最低で最高な、平成最後の夏を。

 

f:id:bluewinking:20180525230137j:plain

 

平成最後の夏がやってくる。

 

わたしが高校生だったころ、もう3年も前になるが、あの頃はまさか「平成が終わる」だなんて思いもしなかった。

 

‘‘JK’’というウルトラハイパー最強な肩書きがいつの日か無くなるなんてウソだと信じ、四方八方を緑に囲まれた田舎にある、生徒全員を同じ方向へ向かせようとする狭い「学校」という名の地獄に自ら入り、「このまま一生つまらない人生を送るのだ」と本気で思っていた。

 

今の学生たちがどうなのかはわからないが、わたしがまだ高校生だったころは、‘‘高校入学と同時に人生サイコー! と突然はっちゃける自称「俺ら最強」組’’と、‘‘狭い教室で「そんなんじゃ社会に出られない」とか「大学に行けない」と大声で捲し立て、生まれ育った環境がまったく違う人間をすべて同じ方向へ向かせようとする教師なんてクソくらえだ、とにかく学校嫌い組’’の2つに分かれていたように思う。

 

見てのとおり、わたしは完全に後者の人間だった。

 

学生生活なんて、たとえ神に頼まれたとしても戻りたくない。けれど、夏の気配をこの肌で感じるたびに思い出すのは、高校生のころの記憶だ。

 

そこで今回は、「ああ、そういえばもう高校生じゃないから、あれはできないのか」と夏がくるたびに蘇る出来事を振り返ってみる。

 

あれをしておけばよかった、もっとJKを満喫するべきだった、なんて後悔のようなものは一切ないが、このブログを読んでいる人になかに高校生がいるのであれば、少しは楽しんでいただけるだろう。

 

高校生ではない人は思い出して感傷に浸るなり、煮るなり食うなりしてください。

 

 ①溶けるほど暑い夏の日の放課後、

ダラダラと自転車を漕いで「もう無理~帰れない~」と喚く 

 

何度もやった。というか、夏なんて毎日こればかり言ってた。

 

地元が盆地なので、夏はとにかく暑い。カラッと乾いた暑さならまだ耐えられるが、梅雨が明けたというのにいつまでもジメジメジメジメしているのだ。端的に言って地獄。学校も地獄、通学中も地獄、朝の7時から夕方の18時まで地獄。ウケる。

 

暑さによる発汗で体力を奪われ、歩行者と同じくらいのスピードで漕いでいたこともある。

 

上京してから自転車に乗らなくなったし、あれほど汗を流しながら死にそうな顔で漕ぐことなど、田舎に移住しない限りはないだろう。

 

若さってすごい。今のわたしだったら即迎えに来てもらうかタクシーに乗る。だって汗かきたくないもん。

 

②授業中、裾をひらひらさせてスカートのなかへ風を送り込む

 

これ、やったことのない女子はいないと思う。いくらスカートを短くしていようとも、暑いものは暑い。(夏でも長いズボンを履いている男子はもっと暑いだろうけれど)

 

中学ではスカートのなかに体操着をはく規則があったし、スカート丈も膝から下と厳しく指導されていたので、下着が見えるなんて心配はゼロ。いや、むしろマイナスと言ってもいいほど。どう頑張ったって見えないのだ。見たいわけじゃないけれど……。

 

高校に入ってからは正真正銘、スカートを履いていた(体操着も履いているときは、風の通りが悪いというか、スカートを履いている気がしなかった)。

 

裾を指先で持ってひらひらと動かし、なかに新鮮な生温い風を送り込んで、ああこれがJKか、なんてぼんやり思っていた。

 

③汗で濡れたブラウスを乾かす(それ以前に、濡れないように必死になる)

 

制服にはさまざまな種類がある。ブレザー、セーラー、その他にはジャンパースカートとか。

 

わたしの通っていた高校はブレザーで、夏服はブラウス+スカートだったのだが、ここで女子たちの頭を悩ませる問題が空の彼方から降ってくる。

 

それは、ブラウスが白ではなく、水色、だということ。水色とは言っても青に近く、彩度が低い。

 

真っ青(あるいは白)であれば、濡れたところでそれほど気にならないかもしれないが、彩度低めの水色なんて、「わたしの汗を見てください!」と言っているようなもんじゃないか……?(実際に、汗で濡れると真っ青になってしまう。)

 

それで、‘‘制服の可愛さ’’に惹かれてあの高校に入学した大半の女子は、夏が来るたびに後悔する。

 

もう1着ブラウスを持ってきて登校したらお手洗いで着替える、肌着だけを替える、なかにTシャツを着てくるなど対処法は人それぞれ。なかには、タオルを仕込んでくる子もいた。はあ、懐かしい。

 

④好きな彼と、すれ違いざまに視線を交わす

 

少女漫画か、と突っ込みたくなる気持ちはわかる。

 

でも、教科書やノートを両腕にかかえたわたしは、向かいから歩いてくる彼とすれ違う一瞬だけおたがいの瞳を見つめ合う、あの瞬間の甘美な衝撃を味わってしまったら、視線を交わさないわけにはいかないのだ。

 

好きな男の、プール後の濡れた黒髪や日焼けした肌、ほんのわずか上がる口角が最高じゃないわけがない。男子と群れているときの無邪気な様子からは一変した、ちょっと色っぽい瞳にドキドキしないわけがない。

 

⑤ポニーテールのシュシュ

 

なんとなく、「ポニーテールにシュシュをつけてもゆるされるのは高校生まで」のような気がしている。高校を卒業してから、ポニーテールにシュシュをつけることが恥ずかしくなった。

(勝手にわたしが思っているだけなので、読んでくださっている人は気にしないでほしい)

 

高校時代はセミロング~ロングをキープし、夏はよくポニーテールをしていた。

しかし、その頃の【前髪8:2分け・触角と後ろ髪はゆるめにコテで巻きポニーテール+シュシュ】の図が完成されているので、なんというか、入り込めないのだ。その完全な図は、JKだから似合っていたのだろうな、と。

 

ポニーテールにシュシュをつけられなくなった、というだけで、ほかの方法で結ぶときには使う。まあ、でもやっぱり、外では身につけなくなったなあ。

 

 

長くなってしまったが、とりあえず今思いつくものはこの5つ。

 

冒頭でも書いたとおり後悔は1mmもなく、ただただ「ああ、そんな時代は終わってしまったんだな」「あの時の気持ちを味わうことは2度とないんだな」と懐かしく思う。

 

「このまま一生つまらない人生を送るのだ」と本気で絶望していた元JKも、今では毎日たのしく仕事をし、「社会人って最高!」と笑いながら生きている。人生何が起こるかわからないし、学校なんてほんとうにちっぽけな世界だったのだと気がついた。

 

学生時代を地獄だったと言っているけれど、あの頃がなければこうして楽しく生きていないかもしれないので、オールオッケー! 

 

それでは終わりに、このブログを読んでくださった高校生を含む全学生のみなさまが、学校や社会に対するあふれんばかりの絶望を楽しめたらいいなと思います。

 

平成最後の夏だから、したくてもできなかったことに思い切って踏み出してみるのもよし。今まで通りダラダラ過ごすのもよし。

 

どれだけ絶望しても変わらず明日は来るし、教師に「社会に出られない」なんて言われたって出られます。大学にも(勉強すれば)入れます。

 

その絶望にはいつか必ず終わりが来るし、人はいつか必ず死ぬ。どうか、最低で最高な人生を。