2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧
誰だって、忘れられない人のひとりやふたりいるだろう、と貴方は言いました。 ベランダから見える首都高は、今日も誰かをどこかへ運んでいます。愛しい人が待つ街へ、恋しい人が眠る家へ。できるだけ早く、まっすぐに。 しかし、わたしは変わらずここにいま…
ふたりでは、会わないようにしていた。 失敗したな、と思う。これまで、ふたりきりにならないように、事あるごとに理由をつけて逃げてきたのに、今日は逃げられそうにもない。 目の前にいる彼は嬉しそうに、確かに、熱のこもった目で私を射抜く。そう、この…
ふたりでは、会わないようにしていた。 口紅は、いくつかの色を混ぜると決めている。1番近くでわたしを見ることのできる男に見破られないためだ。わたしの本性や考えていることを、唇の色ひとつで見透かされないためだ。 適当に選んだ3色で作った唇は恋の色…